第1話 鍼聖と呼ばれた男

針子: 「鍼灸よもやま話」へようこそ!
今日は、鍼聖と呼ばれた杉山和一についてお話しするわね。

Q太: 聖って付くぐらいだから、すごい人なんですよね。きっと。

針子: まぁね。Q太君は鍼治療を受けたことはある?

Q太: 見たことしかないです。細い管に鍼を入れてトントンってするんですよね?

針子: それよ!その細い管を使って鍼を刺す方法。
業界用語では管鍼法っていうんだけど、それをあみだしたのが杉山和一なの。

Q太: 鍼って中国から来たと思ってました。

針子: もともとはね。ただ、中国から伝わったのは、捻鍼法といって、
細い管を使わずにプツッと刺す方法だったの。

Q太: なんだか痛そうですね。

針子: それを痛みなく刺すのが技術だったのよ。
でも、残念だけど杉山和一は手先が不器用だったの。
あまりの不器用さに師匠から破門されるほどにね。
そして実家に帰る途中で石につまずいて、転んでしまうの。

Q太: もう踏んだり蹴ったりですね。

針子: 茫然自失で、足元もフラフラしていたんでしょうね。
転んだ拍子に枯葉に包まった松葉に手をつき、葉が和一の手に刺さったの。

Q太: へーえ。

針子: へーえなんて言っているようではまだまだね。
和一はその時、電気が走ったそうよ。

Q太: 雷でも落ちたんですか?

針子: ひらめいたのよ!和一は枯葉に包まった松葉を見て、鍼を管に入れたら
不器用な自分にも痛みなく鍼が刺せるんじゃないかと思ったの。
こうして管鍼法は誕生したと言われているのよ。

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